2021年2月10日
柳生好之の記事がパスナビにて掲載されました。
https://passnavi.evidus.com/article/advice_subject/202103/03/
難解大入試攻略の切り札! 合格を決める!答案作成術
現代文
Teacher
リクルート「スタディサプリ」講師 柳生 好之 先生
難関大受験専門塾「現論会」代表。授業では、「文法」「論理」という客観的ルールに従った読解法を提唱。著書に『ゼロから覚醒 はじめよう現代文』(かんき出版)、『柳生好之の現代文プラチナルール』(KADOKAWA)などがある。
書き方で得点は大きく変わる!「論理的」な解答を書こう
記述答案を作成する際に重要になるポイントは、主に 3 点ある。それは、①誤字・脱字がないか、②文法・語法・構文のミスがないか、③内容の過不足がないか、である。
①については、言うまでもない。漢字の書き間違いに注意して書こう。また、③については、正しい文章読解が大前提となる。
記述解答を書く際の一番のポイントとなるのが、②文法・語法・構文だ。採点では、主語-述語が一致しているか、修飾・被修飾の関係がひと通りか、言い回しが一般的であるかなどがチェックされる。特に受験生は、長い記述解答を書いているうちに生じる「主語-述語関係のねじれ」や、修飾語と被修飾語が離れすぎることによる「係り受けがひと通りでなくなる」といったミスが多い。下書きをしたら、必ず読み直してチェックしてみよう。
また、内容を正しく表現するための構文も大切だ。採点者は、たとえば、「違い」を説明するための構文、「類似」を説明するための構文など、受験者が適切な構文を正しく使って解答を書いているかをチェックする。「③必要な内容を過不足なく解答に盛り込む」ためにも、試験で使える構文を身につけておきたい。
合格答案の三原則
誤字・脱字をなくすようにする。漢字は正しく!
文法・語法・構文に注意して内容が正しく伝わる解答を書く
問われている内容を過不足なく解答に盛り込む
得点確保へ厳守!
記述答案作成の絶対ルール
絶対ルール1
文の解答を書く場合、主語と述語は必ず確認する
日本語文の骨格は、「主語」と「述語」である。ここが間違っていると、解答内容が根本的に間違いとなるので要注意だ。たとえば、「私の将来の夢は、政治家になりたい」と書いてしまうと、「夢」が「政治家になりたい」というおかしな意味になり、主語と述語が一致しない文になってしまう。「私の将来の夢は、政治家になることだ」のように、主語と述語が一致する文になるよう、十分注意して解答を書くようにしよう。
絶対ルール2
修飾語と被修飾語はなるべく近くに置く
長い記述解答の場合、修飾語と被修飾語が離れすぎている答案は、係り受けがひと通りに定まらず非常に読みにくい。たとえば、「多くの受験生」が集まったことを伝えようとするとき、「多くの参考書を持っている受験生が集まった」と書くと、「多くの参考書」なのか「多くの受験生」なのかがわかりにくくなってしまう。「参考書を持っている多くの受験生が集まった」というように、修飾語と被修飾語はなるべく近くに置こう。
絶対ルール3
特殊な言い回しではなく、一般的な言い回しを使う
記述解答に創作力はまったく必要ない。特殊な言い回しは避け、一般的な言い回しを用いて解答を書こう。たとえば、「現代文の勉強は日々の継続的な学習が重要だ」と書けばよいところで、「現代文の勉強は水滴が岩を穿つようにするべきだ」と書くと誤解を招く可能性が出てくる。現代文入試で必要な表現力とは、個性をアピールする力ではなく、誰にでもひと通りの意味で伝わる文章を書く力であるということを意識しよう。
絶対ルール4
本文の構文をなるべく忠実に記述解答中に再現する
内容は形式(構文)によって表現されるので、本文の構文になるべく忠実に記述解答を構成しよう。たとえば、本文に「雨が降ったことによって、遠足が中止になった」と書いてあるのに、解答で「雨が遠足を中止にした」というように主語と述語を言い換えて記述するのは避けたほうがいい。もちろん、意味がまったく同じであればかまわないのだが、ミスが生じる可能性もあるので、なるべく言い換えは避けるようにしよう。
絶対ルール5
問いの答えとなるように文末表現に注意する
記述解答は、あくまでも問いの答えとなるように書く必要がある。たとえば、「どういうことか」という問いに対しては「~ということ。」、「なぜか」という問いに対しては「~から。」となるように文末表現を整えよう。本文中の解答のポイントを適切にとらえて記述解答を書いたとしても、そもそもの問いの答えの形式になっていなければ減点されてしまう。日本語は文末表現が最も重要だということを意識して記述解答を書こう。
問題タイプ別
得点に差がつく答案作成術
内容説明 問題
頻出の、差異や類似を説明する問題は適切な構文を使って得点アップ!
傍線部の内容について「どういうことか」を問う内容説明問題では、二つの事柄(A と B)の“差異”を説明する問題や、二つの事柄の“類似”を説明する問題が頻出だ。それぞれ適切な解答を書くための構文を押さえておこう。まず、差異を説明する構文は、①「A は X であるのに対し、B は Y である」という構文と、②「Aは X のみであるのに対し、B は X かつ Y である」という構文の ② つ。①は思いつきやすいが、②は構文を知らないと解答が思いつかないので覚えておく必要がある。また、②で説明しなければならない差異を①で説明してしまうと、一見正しいように見えても合格点はもらえないので注意したい。大学入試では②の構文で書くべき問題のほうが多いので、しっかりと覚えておこう。類似を説明する構文については、「A もB もともに X である」という構文を用いると、共通点・類似点を説明しやすい。
理由説明 問題
「前提→帰結」の論理の飛躍を埋める!
難関大入試の評論文の「なぜか」を問う理由説明問題は、飛躍した主張を論証する問題である。これを事実的な因果関係を説明する問題であると勘違いすると、驚くほど点がとれない解答になってしまうので注意したい。傍線部の一文は「A(前提)→ X(帰結)」となっていて、飛躍している部分があるので、帰結を導けるように前提条件を補足説明する解答を書こう。たとえば、「記述問題は(前提)→簡単だ(帰結)」と飛躍した主張の論証は、「記述問題は(前提)→本文中に解答の根拠があり、それを見つけるだけで正解することができるので(前提の補足説明)→簡単だ(帰結)」と書く。このように「A → X」という飛躍をとらえて、その飛躍を埋める「A の説明」を本文中に求めよう。そのうえで、最後に自分の解答と傍線部を読んで、飛躍をきちんと埋められているか確認すれば、点数がとれる記述解答になる。
心情説明 問題
因果関係に注意する!原因は一つとは限らない
小説や随筆で出題される「心情」を説明する問題は、心情が発生する原因まで含めて説明しなければならない。だが、原因は一つとは限らず、複数存在する場合があるので注意したい。たとえば、「好きな子が目の前に現れた(原因)」→「悲しかった(心情)」のような因果関係には飛躍がある。そうした場合、他の要因(事情)があるのではないかと考え、「好きな子が目の前に現れた(原因)」+「昨日転んだときの怪我で顔が腫れていた(事情)」→「悲しかった(心情)」というように解答する。心情と原因が一見つながらないと思ったら、他の要因がある可能性を慎重に検討してほしい。このような特殊事情は、客観描写よりも主観描写である「セリフ・心中文・過去の回想シーン」に書かれていることが多い。そのあたりを中心に特殊事情の描写を探し、「因果関係」がつながっているかを確認したうえで、解答を書こう。
全体把握 問題
一から読み直す必要はなし!部分把握問題の解答も利用する
「全体の論旨を踏まえて説明せよ」という問題があると、また一から本文を読み直す必要があると考える人がいるが、そうではない。あくまで設問の傍線部の説明をするということを忘れてはならない。まずは傍線部と設問(どういうことか or なぜか)の内容を確認し、それぞれに応じたアプローチを心がけよう。「全体の論旨を踏まえて」というのは、傍線部の説明をしている箇所が本文全体に分散しているということだ。ちなみに、この設問は大問の最後にある場合がほとんどだが、解答の要素はすでに他の部分把握の設問でとらえている場合も多い。よって、まずは傍線部の説明を近くから探し、次に他の設問の解答に絡むところまで目をやるという順番で探すと、分散する解答の根拠を効率よくとらえられる。なお、こうした設問の解答は長めになるので、誤字や脱字、係り受けに注意しながら、減点されない答案を書こう。
要注意! 現代文記述答案の減点ポイントは?
文字の〝書き間違い〞や〝抜け〞がある…減点度小
いわゆる誤字・脱字。漢字は本文中に同じものがある場合もあるので、本文と答案を見比べて、書き間違いを防ごう。
文法や構文の使い方が間違っている…減点度中
助詞の使い方、主語 ─述語の係り受けのミスなどに注意。時間をおいて答案を読み直し、意味が通るか確認しよう。
必要な説明が不足している…減点度大
解答として求められる説明が十分になされていないと、大幅な減点は避けられないので注意しよう。
必要以上に過剰な説明をしている…減点度中
答案が長くなりすぎたら、削ったり、まとめたりできる部分がないかを探し、なるべく簡潔な答案にしよう。
答案が日本語文として完結していない…減点度大
文章として成立していない答案は 0 点になってしまうため、内容・要素が不十分だとしても文章は完結させよう。