2018年2月5日
柳生好之の記事がパスナビで掲載されました。
https://passnavi.evidus.com/article/advice_subject/201803/03/
簡潔で明快な日本語で、文法的・論理的に正しい文を書く
記述解答を採点する際に重要になってくるポイントは主に3点ある。①誤字脱字がないか。②文法・語法・構文のミスがないか。③内容の過不足がないか。以上の3点を採点官はチェックする。
まず①については、説明の必要はないだろう。特に漢字の書き間違いには注意しよう。③については、正しい文章読解が必要になる。記述もマークも正しい文章読解を前提とするので、この部分は記述に限った話ではない。
そこで、記述解答を書く際のカギとなるのが、②文法・語法・構文である。例えば、主語と述語が一致しているか、修飾・被修飾関係が正しいか、言い回しが一般的であるかなどがチェックされる。受験生に多いミスは、「長い記述解答を書いているうちに自分が書いた主語を忘れて、主語・述語の関係にねじれが生じる」というもの。また、「修飾語と被修飾語が離れすぎている」というのもよくあるミス。必ず読み直してチェックしてみることが重要だ。
そして、内容を正しく表現するための構文=フレームワークがチェックされる。例えば、「差異」を説明するための構文が適切か、「類似」を説明するための構文が適切か、など正しい構文を使っているかを採点官はチェックするのだ。そこで、内容を正しく盛り込むための構文を覚えて、記述解答を書くときに生かそう。また、構文は文章内容を読解する際にも役に立つので、ぜひこの機会に構文の確認をしてほしい。
失点防止&得点獲得
答案作成の原則
原則1:文の解答を書く場合は、主語と述語を必ず確認する
日本語文の骨格は主語と述語だ。ここが間違っていると解答内容が根本的に間違いになるので要注意。
原則2:修飾語と被修飾語はなるべく近くに置く
長い記述解答の場合、被修飾語が修飾語と離れすぎている答案は非常に読みにくい。修飾語の並べ方に注意。
原則3:特殊な言い回しは使わず、一般的な言い回しを使う
記述解答に創作力はまったく必要ない。特殊な言い回しは避け、一般的な言い回しで解答を書こう。
原則4:本文の構文をなるべく忠実に記述解答として再現する
内容とは形式(構文)によって表現されるので、本文の構文になるべく忠実に記述解答を構成しよう。
原則5:論理フレームワークに注意して記述解答を書く
「差異」や「類似」のような内容を整理するタイプの問題に対しては、決まった構文=フレームワークで書こう。
原則6:文末表現が問いに対して適切なものになるよう注意する
「どういうことか」に対し「~ こと。」、「なぜか」に対し「~から。」となるように文末表現を整えよう。
問題タイプ別
得点に差がつく答案作成術
差異(対比)説明問題
「否定」のフレームで二つの事柄の違いをとらえよう
二つの事柄の「差異」を説明する問題はよく出題される。この問題に解答する際は、本文を正しく分析し、内容を整理して記述する必要がある。例えば、「日本(A)は集団主義(X)であるのに対し、西洋(B)は個人主義(Y=Xでない)である。」というフレームワークを使おう。このフレームワークのポイントは、XとYが「否定」「対義語」の関係になるということだ。また、「変化」を説明する場合も基本的に同じだが、「集団主義(X)であった日本が、個人主義(Y=Xでない)となる」というフレームワークで説明するとよい。
類似(類比)説明問題
「類似」のフレームで二つの事柄の共通点をとらえよう
二つの事柄の「共通点」を説明する問題も頻出である。この場合はAとBの説明で、同じようなことを言っているポイントを本文から探し出そう。そして「日本(A)と同様にアメリカ(B)も資本主義(X)である。」と記述するとよい。このフレームワークの注意点は「X=共通点」を一度だけ書くということだ。「AはXであるのと同様に、BもまたXである。」と書くと、字数を多く使ってしまう。だが、「X=共通点」を一度だけ書くようにすれば、字数を節約できる。なお、この際、「X=共通点」はAとBにともに当てはまるように「一般化」しよう。
理由説明問題(評論文)
「論証」のフレームで筆者の主張の根拠をとらえよう
このタイプは、筆者の主張に対する論証を読み、それを説明する問題である。この場合に覚えておいてほしいフレームは4つある。①単純な論証「Aだから、B」、②論証の連鎖「AなのでBだから、C」、③結合論証「AかつB、したがってC」、④合流論証「AまたはB、したがってC」というものだ。特に注意が必要なのは、②論証の連鎖と③結合論証である。②論証の連鎖の場合、字数的にAとBと両方書くことができなかったら、C(結論)の直接の根拠であるBを書こう。③結合論証はAとBがセットになって根拠となるので、必ず両方記述しよう。
心情説明問題(小説文・随筆文)
「心情」のフレームで心情の因果関係をとらえよう
小説文や随筆文で出題される心情説明問題にもフレームワークがある。①単純な心情「0点を取った(原因)→悲しい(心情)→泣いた(結果=行動、反応、発言)」といったフレームワークに注意しよう。その他にも、②心情の変化「心情A→変化の原因→心情B」、③結合原因の心情「(原因Aかつ原因B)→心情→結果」、④心情の交錯「(原因A→心情A)かつ(原因B→心情B)」という四つのフレームワークを覚えておこう。そして、本文中の心情を中心とした因果関係を分析し、どのフレームワークに当てはまるのかを考えて、記述解答を書くとよい。