2020年2月5日

柳生好之の記事がパスナビに掲載されました。

https://passnavi.evidus.com/article/study/202003_04/03/

書き方だけで合否が決まる!?
論理的な解答を

 「文法」「論理」のミスに注意し、理路整然とした答案を書く

 記述解答を書くときに「なんとか部分点を取りたい!」と考えて、本文の表現をたくさん拾ってツギハギのような解答を書く受験生がいる。しかし、そのようにして作られた解答には低い点しか与えられない。「模範解答は自分も見つけた表現で書かれているのに、なぜ自分の答案は点数が低いのか」と悩む受験生は多い。そのような答案は「単語」のレベルで見ると模範解答に近いように見えるが、「文法」「論理」というレベルで見ると、日本語文の体をなしておらず、意味不明なものになっているのだ。文は「文法」「論理」といった構造が「意味」を決定している。つまり、本番で自分の解答を書くとき、あるいは自分の解答を読み直すときには「文法」「論理」に注意することが鉄則となる。答案を書くときには「必ずミスがあるはずだ」と考えて見直しをしてもらいたい。自分のミスの傾向がわかっていれば、本番でも自分のミスに気がつき、あと数点を稼ぐことができる。制限字数の中で、できるだけポイントを詰め込もうとするのではなく、必須のポイントに絞り、よく整理されていてわかりやすい答案を書こう。

絶対厳守!
答案作成の基本ルール

ルール1
「主語」は1つ、「述語」は2つまでにする!

主語が途中で変わるような文を書こうとすると主述の不一致などのミスを招きやすい。なるべく主語は一貫させよう。述語も2つまでと決めておくと主述の不一致を防げる。

ルール2
「修飾語」の位置に注意して書く!

修飾語はなるべく被修飾語の近くに置こう。修飾語が被修飾語と離れてしまうと係り受けが不明瞭になる。そのような文は他の解釈の可能性が生じ、減点の対象となる。

ルール3
「本文の文法構造」に忠実に書く!

格助詞や接続助詞が作り出す文法構造に注意。体言や用言のレベルでは正解に見えても、格助詞や接続助詞が誤って用いられていると正しい意味は伝わらず、減点される。

ルール4
「論理フレームワーク」に注意して書く!

「AではなくB」や「AだけでなくBも」といった論理構造に注意しよう。前者は「否定(でない)」であり、後者は「連言(かつ)」であるため、まったく意味が異なるのだ。

ルール5
「具体例」や「比喩表現」を解答に入れない!

「比喩表現」は本文の文脈を離れると意味をなさず、また「具体例」もまとめの表現と離れると意味をなさない。そのような表現を記述解答に入れると意味不明な答案になる。

ルール6
「文末表現」に注意して、記述解答をまとめる!

「どういうことか」という問いに対しては「~ということ。」、「なぜか」という問いに対しては「~から。」と解答をまとめる。文末が間違っていると減点されるので注意しよう。

記述答案
得点はここで差がつく!

ここで 差 がつく! TOP1
内容説明問題は、2つの事柄の差異に注意する!

 「どういうことか」を問う内容説明問題では2つの事柄(AとB)の差異を説明する問題が頻出だ。この差異を説明するフレームは2つ。1つは「AはXであるのに対し、BはYである」というフレームで、もう1つは「AはXのみであるのに対し、Bはそれに加えてYもある」というフレームである。たとえば、「日本は集団主義であるのに対し、欧米は個人主義である」というのは「日本は集団主義」「欧米は個人主義」というわかりやすい差異だ。一方「日本は民主主義のみであるのに対し、欧米はそれに加えて個人主義もある」の場合は「日本は民主主義のみで個人主義ではない」であり、「欧米は民主主義かつ個人主義」であるという差異を表している。後者で説明しなければならない差異を前者で説明すると、一見正しい解答のように見えても合格点は取れない。

ここで 差 がつく! TOP2
理由説明問題は、論理の飛躍を埋める!

 「なぜか」を問う理由説明問題は飛躍した主張を論証する問題と言える。これを事実的な因果関係を説明する問題であると勘違いすると、得点は期待できない。傍線部の一文には「A(前提)→X(帰結)」と飛躍している部分があるので、帰結を導けるように前提条件を補足説明する解答を書こう。たとえば、「記述問題は(前提)→簡単だ(帰結)」と飛躍した主張があるとする。この場合、「記述問題は(前提)」の説明が不足しており飛躍が生じているので、その前提の補足説明を書こう。「記述問題は(前提)→本文中に解答の根拠があり、それを見つけるだけで正解することができる(前提の補足説明)→簡単だ(帰結)」とすれば、飛躍を埋めることができる。解答は「記述問題は本文中に解答の根拠があり、それを見つけるだけで正解することができるから」と書こう。

ここで 差 がつく! TOP3
心情説明問題は、因果関係に注意する!

 小説や随筆で出題される心情説明問題は、「心情」が発生する「原因」まで含めて説明しなければならない。その際に「原因」が一つとは限らず、複数存在する場合がある。「Aだった(原因)が、Bでもあった(事情)ので、Cという気持ちになった(心情)」というフレームを覚えておこう。たとえば、「好きな子が目の前に現れた(原因)」→「悲しかった(心情)」のような因果関係には飛躍がある。そこで、他の要因(事情)があるのではないかと考えて、「昨日転んだときの怪我で顔が腫れていた(事情)」をとらえる。そして、「好きな子が目の前に現れたが、昨日転んだときの怪我で顔が腫れていたので、悲しかった」というように解答する。このように原因と心情が一見するとつながらない場合は、他の要因(事情)もある可能性を考えて本文を読み、解答をまとめよう。

ここで 差 がつく! TOP4
全体把握問題は、部分把握問題から考える!

 「全体の論旨をふまえて説明せよ」という問題を見たとき、また一から読み直さなければいけないと思う人がいるが、そうではない。あくまで設問の傍線部の説明をするということを忘れてはならない。たとえば「どういうことか」「なぜか」を問う問題であれば、まずは傍線部のどこがわかりにくいのか、またはどこに飛躍があるのかをしっかり分析することから始めよう。「全体の論旨をふまえて」というのは、傍線部の説明をしている箇所が本文全体に分散しているということだ。また、この設問は最後に設定される場合がほとんどであるが、解答の根拠はすでに部分把握の他の設問でとらえている場合も多い。よって、まずは傍線部の説明を近くから探し、次に他の設問で解答した箇所まで目をやるという順番で探すと、解答の根拠がとらえやすくなる。